名前のないフクロウカフェ

偶然でありながらも、全てが必然となっていく。

一見、何の意味もないような出来事が、一本の線でつながれていく。

あの瞬間が、私はたまらなく嬉しい。

もしかしたら、生きることには何の意味もなく、ただ、私たちはそれだけをくりかえし感じていくだけ。

それが、生きるということなのかもしれない。

これは、私の物語。

世界はいつでも心の中。

※この物語は、フィクションかノンフィクションか。

答えはあなたの中にあります。

気が付けば、私は既に休暇願を出して海の見える国道を走っていました。

何が起こるのかはわからない。

雨が降る中、西の空だけは晴れていました。

一時間ほど車を走らせ、国道沿いの線路をくぐり、海岸近くの綺麗な家に到着。

以来のあったお宅へ邪魔して、雑談も交えながら要望しているのかを聞きいてみることにしました。

奥さんの夢を叶えてあげたいという男性の、素敵な夢のお話。

話を聞きながら、私の出せるアドバイスも加え、今ここで出来ることを、ひとつずつ依頼主と共に進めていくことにしました。

「自分が何かをすることよりも、奥さんのやりたいこと、家族が幸せになれることを叶えてあげることが私の夢なのだ」

と、依頼主の男性は終始嬉しそうに語り続けていました。

家族の方たちの意見も取り入れながら、どうしたら前に進むことができるのかを考え、話し続けました。

そうこうしているうちに、時間はあっという間に過ぎて、到着してから三時間近く経過していました。

雲行きも怪しくなってきて、そろそろ家族の時間も大切だなと感じ、帰路につきました。

帰りの車の中で

「私は何かの役に立てただろうか」

「今以上に何か出来ることはないか」

「そればかりを考え続けました」

おしゃれで綺麗な空間へ招かれ、笑顔で迎え入れてくれた方たち。

例えようのない愛くるしさを魅せてくれたフクロウ。

太陽のような笑顔で、ほどよい温度の飲み物を出してくれたウェイトレス。

素直にその後についていくかわいい見習いウェイトレスさん。

単純な楽しさを見せてくれる小さなパフォーマー。

何も言わずに見守ってくれている奥さん。

そして、そんな家族の笑顔を守りたい、幸せを作っていきたいと願う男性。

フクロウと戯れたり、静かにお茶を飲んだり。

絵本を見たり、意味もない話をしたり。

空家へ侵入して、スズメ蜂の巣に感動したり。

普通は行かないような森の中へ探検してみたり。

崩れかけた石垣、古びた街並み。

炎のように燃え盛る森の緑。

見たこともないような巨木や、危なっかしい線路。

その全てが、既に完成された芸術で、何一つとして欠けることなく、完璧な状態で存在していました。

冒険、癒し、神秘、感動。

自然と一体となった、「名前のないフクロウカフェ」が確かにそこに存在していました。

そのことに気づいた時には、あたりはもう暗くなり、笑顔で自宅の玄関を開ける私がいました。

私はもう、そのカフェへの道のりを二度と思い出すことはないでしょう。

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